Thursday, June 21, 2012

André Mehmari / Canteiro





「アンドレ・メマーリ」もうこの名前を聞いただけで素晴らしい音楽だということが確信できる。
それほどに魅了された人も多く、信頼できる美しい音楽を創造するたぐい稀な存在である。 作曲家ピアニストであり、20種類以上の楽器を奏でる天才マルチ奏者。実際にこの作品のほとんども演奏し多重録音している。だからこそ独自の世界観と発想に富んだ作曲ができるのだろう。美しく知的好奇心がありユーモアもある、でもそんな言葉だけでは伝えきれない音楽がたくさん詰まっている。この作品はCANTO(歌)をメインに収録した2枚組の大作で豪華なヴォーカリストが多く参加しており、この5月に来日したカルロス・アギーレさんも参加している。 

サンパウロから届いたメマーリさんの音楽が日本人の有志により箱入りでアートワークが加えられ、その形は大人のための“音楽の玉手箱”とも感じ取れる。しかも、1曲ごとに曲をイメージしたガル・オピードさんの淡くも力強い挿し絵が添えられ、完璧な仕事に関心しきり。そして、すべてに歌詞対訳がついており、もうこれだけでも読み物としての詩集になっていてその言葉に勇気づけられる。さらには楽譜もアクセスして入手できると言うなんとも贅沢な作品だ。 この茶色いクラフトパッケージは装い新たに内容は同じで製作されたセカンド・エディションになり、再び多くの愛情が注がれた作品となっている。 

ダウンロード音楽は否定しない。 進化と共に発展していくことはもちろんだと思う。
しかし、音楽のあるべき姿はこうであるべきだとこの作品は僕たちに悟らせてくれているようにも感じる。僕はたくさん売ろうと思ってこうして文章を書いているつもりはなく、届くべきところに届いてほしいと、そういつも願っている。僕たちの敬愛する音楽家カルロス・アギーレさんが言っていた、「アートワークはとても重要でCDパッケージは“音楽が住む家”」だと。


●アンドレ・メマーリ / Canteiro(カンテイロ)  3.780円 (在庫×)


2011年春に名古屋公演で初めてみたメマーリさんの演奏は今でも強く記憶に残っている。グランドピアノが「早く弾いて!」と言わんばかりに主を待っているかのようにも見え、ひたすら楽しそうに弾くメマーリさんの演奏は言うまでもなく素晴らしいものだった。 そして今、メマーリさんは伊藤ゴローさんのアルバム《GLASHAUS》にも参加していて、ここでは美しく繊細なピアノを奏でている。そんな素晴らしい音楽の波紋が次々に広がり繋がっていく。
2011年4月21日名古屋にてアンドレ・メマーリさんと。