Wednesday, October 31, 2012

Pasta de Sabor Suave / AR 2012 ⑱


アルゼンチンの各地を約20日間ほど巡った日々の3度の食事は、私たちにとって楽しみのひとつでもあり心安らぐものでした。それは決してグルメ至上志向ではなく、自国の農産物を新鮮なうちに数種のスパイスや塩で調理したとてもシンプルな味でした。なかでもブエノスアイレスでは"Nuevo cocina Argentina"といわれる最近の潮流の料理も味わえました。フランスなどで修業を積んだ若いシェフが独立・起業し、自国の農産物を斬新な調理法で繊細な味付けと盛り付けで提供されるレストランが最近一部のエリアで増えてきているそうです。その素敵なひとときに新鮮なひらめきを覚える感覚がしました。また一方で懐かしいようなほっとする味の代表的なエンパナーダというミートパイは各地方の店で必ずと言っていいほど見かけ、挽肉入り、ハム&チーズ入り、緑野菜入り、魚入りまであり様々な味と香りに出会えました。レストランでそういった料理や家庭的な煮込み料理が運ばれてくる香りは、ふだんハンモックカフェの調理場で作り出来上がったばかりの香りと近く、それがなんともうれしく感じたのです。今回の旅の目的のひとつでもあった自分の味の再確認ができ、あとは迷いなく料理を楽しみ食べてくれる方と分かち合うことで、より近い〝アルゼンチン料理”となるのだろうと思います。

また日本にも伝統料理がありますが、日本の街中に多くある店やふだん家庭で食べる料理はそれとは違うように、アルゼンチンの人たちもイタリアやスペイン色のあるピザやパスタ系やパエリアなどを好んで選んでいるようでした。そしてその場には家族や友人がいて、アルゼンチンワインやマテ茶があり(清涼飲料水sprite,cocacolaもあったり)、たとえワインをこぼす人がいても細かいことは気にせず幸せなひとときを楽しみ分かち合うのです。

街中のパン屋さん(Panaderia, 甘いパン専門店はFacturasと書かれています)にも立ち寄りましたが、メディアルナといわれるクロワッサンや野菜のタルタ、ゴマや雑穀入りのパンもあり美味しかったです。甘いパンも味の違いやアレンジは店によって多少あるにしても驚くような変?なアレンジはなく、とくにドゥルセ・デ・レチェ(甘いキャラメルのようなミルクジャム)は日本のあんこのようによく使われています。イチゴや西洋カリンやプラムなど果物のジャムがのっていたり、カスタードクリームのパンやドゥルセ・デ・バタタといわれる甘いイモのジャムとの組み合わせなどあり、それらの甘さが旅の疲れを癒してくれてやみつきになってしまいました。

帰国後たくさんの味の思い出に浸りながら、さてアルゼンチン料理の新メニューとは?と問いかけてきましたが経験としてこれからの料理全般に反映されることと思い、これから来年にかけてゆるやかにメニューを変更していくことにします。その一つ目として、パラナーのカルロス・アギーレさんのご自宅でご本人が調理してくれた味付けに影響を受けて作る新メニュースタート!

11月1日より
●Pasta de Sabor Suave~優しい味のパスタ~  1.000円
(order time 12:00~16:30 , 18:00~21:00)




ピアノやギター、アコーディオンを弾くその指で新鮮な野菜を切ったり茹でたりと、次第にいい香りが部屋中漂いおいしそうに盛られて出来上がるプロセスは、細部にこだわりが見え隠れして繊細であり時に大胆な男性の手料理という感じもしました。新鮮トマトに香味野菜、アーモンドを隠し味に加えたアギーレさんが作ってくれたパスタソースは、その土地の平和な風景を象徴するとてもナチュラルな優しい味でした。

(photo by Nobuhiko Nakamura)