Saturday, November 8, 2014

"Wavenir" from Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

HUMMOCK Cafeが2014年秋より始動した「ハンモックレーベル-hummock label~音楽。心のライブラリーに想い重なる。~」より御礼。
2014年9月4日にレーベル第1作品となる、アーティスト藤本一馬/伊藤志宏『Wavenir』を全国発売後、10月にかけてリリースツアーライヴ10公演を企画・主催し、各地の皆さまに温かく迎えられました。その後11月に入ってからもライヴと作品への感想や、残念ながら会場へ向えなかった方からのライヴ問合せをいただき、感謝の気持ちで過ごしています。ありがとうございます。
そこで、来年2015年にも引き続き各地で藤本一馬/伊藤志宏『Wavenir』の生演奏の機会を企画し、アコースティック・ギターとピアノの美しき音の共鳴をお届けいたします。
【Kazuma Fujimoto & Shikou Ito “Wavenir” Release Tour/ 2015 Spring , North】
藤本一馬 & 伊藤志宏 “ウェヴニール” リリース ツアー 2015春 / 北
詳細はhummock label Web Siteにて。

そして音楽メディアのひとつ、橋本徹(SUBURBIA)さんを始めとする「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家がそれぞれのセレクトした音楽への思いを綴る「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」にて、選曲家の富永珠梨さんと吉本宏さんが、2014年秋のお薦めに『Wavenir』を取り上げられた寄稿を感謝を込めて転載させていただきます。

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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew
2014 Autumn Selection(2014年10月13日~11月30日)

---"2014 Autumn Selection"ベストな1枚は、"美しい音楽を多くの人と分かち合う"ということを真剣に、そして並々ならぬ情熱と、愛を全力で注ぎ込んで作られた"純度の高い鉱石"のような作品を選びました。ハンモック・レーベル第1弾作品、藤本一馬/伊藤志宏『Wavenir』。初めてこのアルバムを耳にしたとき、あまりの素晴らしさにしばらくその場から動けなくなりました。そして次の瞬間「すぐにこの溢れ出す想いをハンモック・レーベルの中村夫妻(レーベルを主宰されている姫路のハンモック・カフェの店主)に伝えたい!」と、思わず迸る情熱をそのままメールに託して送っていました。ジャケットに写し出されている、水面にたゆたう美しく神聖な光りのように、どこかスピ リチュアルなメッセージを感じさせる楽曲や、日常に寄り添う陽の光りのように、安らかな空気に満ちた楽曲が、ひとつひとつ丁寧に紡がれている、人の手の温もりを感じるアルバムです。

それぞれの音楽が、頭の中のキャンヴァスに見たこともない、でもどこか懐かしい匂いがする風景を、鮮やかな色彩とともにのびのびと描いてくれます。時にカルロス・アギーレのような、時にキケ・シネシのような、時にパット・メセニーのような、時にキース・ジャレットのような、時にラヴェルのような、時にドビュッシーのような……それでいて、他の誰でもない、ジャンルの境界線も溶け落ちてしまう、力強さと繊細さを内包した音楽。世界の素晴らしい音楽が、時を 越え国境を越え、目に見えない光りの粒子となって、音楽家二人の体に染み渡り、そして長い長い時を経て、新しい光り放つ音楽として、今この時代に産み落とされた……思わずそんなイメージを膨らませてしまうほど、すっかりこの作品の虜になってしまいました。

今回、"Autumn Selection"にセレクトした「Matogata Sunrise」は、まさに今の季節にぴったりな、澄み渡る秋空を思わせるような清々しい作品です。天にも届くような、どこまでも美しく舞い上がる伸びやかなピアノの音色と、スピリチュアルな空気を宿したシタールを彷彿させる魔術的なギターの爪弾き。固く閉じていた心の奥の古い扉が、勢いよく開くような、爽快感に満ちた魂を解き放つ音楽。聴き込むごとにひとつひとつの楽曲が、自分だけの意味や物語を教えてくれるような不思議な感覚を覚えます。秋の夜長に目を閉じ、じっくり耳を傾けたい、心の水面を優しく揺らす美しい一枚です。    ― 富永珠梨  

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二人が初めて共演した小さなジャズ・バーでそれは生まれた。藤本一馬の風のようなギターと伊藤志宏の水の輝きのようなピアノが出会うと、神々しい光が降り注ぐように二人は美しい音で包み込まれた。あれから2年半の年月を経て、まるで演奏家とリスナーの心の動きを追ったドキュメンタリー映画のような作品が生まれた。        ― 吉本宏 (bar buenos aires
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写真は、リリースツアー会場のひとつ、2014年10月17日福岡公演|papparayray にて。