Thursday, April 11, 2013

Guillermo Rizzotto Interview


ギジェルモ・リソット・ジャパンツアーの公式フライヤー届きました
いよいよ2ヶ月後になった。ギジェルモ・リソットのコンサート。



先日、来日に先駆けてご本人にインタヴューを行いました。
少し長い文章になりますが、
とても誠実に日本への想いを語って下さいっていますので
ご一読いただければ嬉しく思います。


<ギジェルモ・リソットから日本のすべての人たちへ>

・新作に込めた想い
・現在の活動
・日本の反響について

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ソロの新作『情景の記憶〜ソロ・ギターラⅡ』(原題:Guillermo Rizzotto "El sentido del paisaje")の制作がひと段落し、新たなプロジェクトのためにノルウェーに渡航する前日に真摯に質問に答えてくれました。

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― ギジェルモ、あなたは自身のギターソロ作品を“サガ”(長編小説、冒険記)として続けていく意思があると以前お聞きしましたが、今回の新作についてはどのような意図が含まれていますか?

Guillermo(以下G), 今回の新作は前作の『ソロ・ギターラ』の続編という意味ももちろんありますが、”サガ”としてソロの曲作りをしている当初の意図から進化した内容になります。詳しく言うと、今回のアルバムに含まれているいくつかの曲は2005年にロサリオで前作の制作時にも(収録はしていませんが)弾いており、サガというのは前作の続編のようでもあり、年数の経過による進化の意味も含みます。今回のソロ作品の場合は、全曲が異なる国の、異なる人々、異なった状況の中で出来上がった曲ばかりでその点でも大きく進化しています。

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― ありがとうございます。
バルセロナに移住し、エドゥアルド・エグエスと彼のグループのアンサンブル・ラ・キメラのツアーに参加されているようですが、それはいつごろからですか?またそれらから受ける影響はどのようなものですか?

G, 2010年1月のベルギー公演から参加しています。
彼らと演奏することはとても多くのことを学び、様々な可能性を広げてくれます。その中でも僕にとって最も大事なことの一つに、ギター以外の弦楽器との共演は貴重な体験です。特にビオラ・ダ・ガンバ(16~18世紀にヨーロッパで愛好された擦弦楽器、弦は6、7本で、チェロのように脚の間に立てて奏する)の弦と協調しながら毎回異なるスタイルで演奏することは、弦の擦法や異なる音色の合奏を学ぶ充実した経験となっています。また、彼らのツアーでは様々な国に行き、その国の古典音楽やその場の演目をその都度学び、そういった音楽を僕なりの解釈でギターを弾いています。
またエドゥアルドは、僕も大ファンでもあるノルウェー出身のロルフ・リスレヴ ァンド(リュート/バロック・ギター/テオルボ奏者)と同じくらい古典音楽界では有名です。このアンサンブルを「古楽フュージョン」と彼らが名づけたとても興味深いコンセプトに基づき、世界の古典音楽を現代的な感性で演奏活動をしています。そして、昨年のツアーで初めてノルウェーを訪れ、僕の演奏に興味を持ってくれた多くの人たちと出会いました。
このアンサンブルのコンセプトを基に関係のある新たなプロジェクトを僕自身とノルウェーの音楽家たちと現在進めています。その場での演奏はもちろんノルウェーの伝統的なフォークに基づいた僕の作/編曲になり、近々予定される彼らとのセッションをとても楽しみにしています。
それから『El paso del tiempo』(ギター、フルートのデュオアルバム)からも何曲かトリオ編曲をします。トリオ編成はノルウェー7弦リラ奏者でシンガーのÅshild Wetterhusと演奏会場であるNumedal地方出身のフィドル奏者で尊敬すべきヴァイオリニストEven Tråenと僕です。

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― ありがとうございます、ギジェルモ。
アンサンブル・ラ・キメラのツアーでノルウェーを訪れたことがきっかけで、あなたの新たなプロジェクトヘと繋がっているのですね。
話は日本に変わり、前作の『ソロ・ギターラ』が日本で再発されてまだ一年も経たないうちに初来日が決定しましたが、この反響についてどう感じていますか?

G, 僕は自身を純粋に音楽で表現してきたことが、いつ、どこでこのような大きく、まるで化学反応を起こしたかのようになったのか、それに対して全く予期せぬ神秘的な想いもしていますが、こう信じています―
僕が内在する力を高めようとして渾身の力を注いで何かを行う時、それを受けとめる人の何人かはきっと少なからず何か魅力を感じ、そこから周囲に広がり物事が創造され、世の中に関心を持ってもらえるようになる― と。
でも、本当にそれは繊細な運命の糸のようにいつ起こるか誰にも分からないし、ただ僕は常に渾身の力を注ぎ自然な自分をこれまでどおり表現し続けたいと思っています。
そうしたい理由は他にもあります。現在、僕達は不自然で不調和な世界に生きており、人々の癒しとな る純然たる自然の空間を創造することが求められています。つまりまるで観たこともない美しい情景や別の安らぐ居場所を創造するかのように、音楽という名の(狂気ではなく健全な道での)創造を生きている証しとしたいからです。
あとは日本の人たちへの感謝と尊敬の気持ちに尽きます。だから日本の各会場ではすでに僕の音楽を聴いてくれている人にも、初めてという人にも、心の底から愛をこめて演奏することを約束します。そして、音楽から広がる目の前の情景に、どうかピュアで素直な心でいつまでもいてください。

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(2013.3.27. インタヴュアー中村真理子/HUMMOCK Cafe)